初恋インマチュア
「ん。終了」
「あ、ありがとう、ございます」
「別に」
高橋くんはぶっきらぼうにそう言うと、少し間を開けて私の左隣に座った。
横目で左側を見てみると、高橋くんは少し難しい顔をしながら目の前の窓を見つめていた。
――大人しくして黙っていればすごくキレイな人なのに、勿体ないなぁ…
なんて考えながらつい見とれていると、高橋くんが突然こっちを向いた。
「あのさ」
「は、はいっ?」
突然こっちを向かれたので、私は高橋くんとばっちり目が合った。
高橋くんが真剣な顔で見つめてきて、私は視線をそらすタイミングを逃してしまう。
「悪い、怒鳴ったりして」
「あ、いえ、私もごめんなさい……気安く触ったりして…」
「………」
「………わ、…!」
予想外すぎる展開だった。
私が謝ると、高橋くんは無言で手を上げてきた。
叩かれるのかと思ってぎゅっと目を瞑って下を向いたら、高橋くんの手はそのまま静かに私の頭に乗っかった。
「……た、高橋くん…?」
ゆっくりと顔を上げて高橋くんの表情を伺ってみると、すごく切なそうな顔で私を見ていた。
その顔があまりにもキレイで、思わずドキッとする。
「…俺のこと嫌いになんないで」
「……は、はい…」
唐突な言葉でよく意味がわからなかったけど、とりあえず小さく頷いておく。
高橋くんは私が頷くのを見ると満足そうに微笑んで私の頭をグシャグシャと撫で回した。