♀めい☆こん♂

「あのぉ…えーとぉ…。」

　何が起きているのか…わからずシドロモドロな私の態度をみるその女性は…スッーと一枚の白い名刺を差し出した。

　『冥婚プランナー
　釈　 寿　音』
　「冥…婚プランナー？」

　困惑しながら名刺を 受け取り名刺の文字をなぞりながら、その女性を改めてみた私を…彼女は癒し系の微笑を浮かべて言葉を繋げた。

　「釈 寿音（ｼｬｸ ｺﾄﾈ）と申します…。」　「…はあ…。」

　状況がよく呑み込めず思わず名刺を握りながら曖昧な言葉を返す私にその彼女…釈さんは、深々とご丁寧にお辞儀をした。

　「この度は…突然の不幸に見舞われまして…ご無念の内に俗世を去らなければならなかったこと…誠にお悔やみ申しあげます。」

　「えっ…！？えっ！？」

　何…！？
不幸って誰が…？
どーゆうこと…！？

　何がなんだかわからず突然のお悔やみにますます状況が呑み込めず私は…ただうろたえ気味で彼女に尋ねた。

　「ふ…不幸って…？
誰か亡くなったの？
まさか…パパ…？
いや…ママ…？」

　私のうろたえように釈さんは…この世の者とは思えない優しい眼差しで私の両手をとった。

　「まあ…無理もないですわ…。
みなさん…。あまりに突然の事で最初は気が動転してまさか…まさか自分が亡くなってるなんて気付かないままこちらにこられる人多いものです。特にあの事故ですものね…。」

　ちょっ…！？

「ちょっと…まったー！？」

　釈さんの言葉を、遮り私は思わず言葉を返す。

　「…私の聞き間違いでなければ…あなた…今、自分が亡くなってることにっていってなかった？」

　思わず声を荒立てる私の様子に…釈さんは…また深く頷き言葉を繋げた。

　「はい。聞き間違いではありませんからご安心を…。
こんな事はっきり申し上げにくいものですが…あなたはあの事故で無念の最期を遂げられこちらにいらっしゃいました。」
　「……えっ゛―゛！？」

　頭を激しく強打された言葉に私は耳を疑った。

　「嘘よ！？…だって私…体あるし足あるし…こんなに思考も感覚もしっかりしてるしそれに…息してるし…。」

　…気を動転させがら口に手をあてたがあてた筈の手のひらに息の感覚は伝わらない。

　「あれ？あれ…？息がない！？そんなだって鼓動音してたし…」

　今度は、胸に手をあてる。
しかし…無念にも私の体には胸打つ鼓動はなく掌から伝わるのは生暖かい体温のみ…。