♀めい☆こん♂
 涙は手を濡らすこともなくキラキラとまるでラメのように蒸発して空にとけていきそんな私の想いなんかもまるで嘲笑っているように消えていった。

 ああ…青天の霹靂ってまさに…この事かしら…(ノ△T)
例え平凡といえど…これからの自らの夢を目標に胸を膨らませて大学を卒業してはや1年…。
氷河期と言われる就職難の中やっと内定を頂き仕事に励む傍ら今年こそは素敵な男性との出会いにと…期待をかけて職場と自宅を往復しながら地味な生活を繰り返し毎日通い続けた通勤経路でさえ歩く事ができないって思うと懐かしく思えてくる…。一体どのくらいの時間がたっているかもわからないけど…もし最後だってわかっていたらもっといろんな人にサヨナラもいえたのに…私の事を見送ってくれたパパやママにも今までの感謝の言葉ですら伝えられずになんて…こんなの酷すぎる~!?

 考えれば考えるほど今更…あれもこれもしておけば良かったと思う事がいっぱいでその無念な想いが涙になって溢れてとまらない。

 だいたい…なんでこんな事になっているんだっけ…!? 
えっーと…ちょっと…待てよ…(汗)

確か…私は…。

 自分の境遇を悲観している最中…ふと疑問が頭を横切り我に返った。

 そんな様子をただ黙っみていた釈さんだったが…いち早く何かを察知したように何やらバインダーで挟んでいる冊子を渡された。

「参考になれば…お使い下さい。」

 釈さんは、相変わらず癒し系の笑みを崩さず私にそのバインダーを差し出された。

 「あ…ありがとう。」

 反論したことや散々泣きわめきといった醜態を晒していたせいか何気に今更ながら恥ずかしくなりバツが悪そうに私はおそるおそるバインダーを受け取った。

 彼女は…そんな様子をみても物怖じせずに癒し系の笑みを崩さず軽く会釈して…くるりと踵を返すと私が最初にたどり着いた水辺に向かって歩き出した。

 私はその様子を見守りながら先程釈さんから受け取ったバインダーの表紙をめくり白い用紙に目を落とした。

 『新規 お客様カルテ:春日井 灯(カスガイアカリ)様


 材質は和紙の用紙に筆で丁寧に書かれた文字が最初に目につく。

 新規 お客様?
 私が…?
そんな婚活斡旋サイトにエントリーしたことないけどなあ…(汗)

身に覚えのない契約書を更に一枚めくると…またもや筆を用いて書かれたであろう直筆の文面が丁寧に納められていた。
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