どうぶつ童話集。
くじらは自分の周りを見回して涙を流します。
くじらにもわかっていたのです。
自分のせいで大地が泣き叫んでいることを。
くじらはゆっくりとふくろうに背を向けて海へと歩き出しました。
「森のみんなはきっと僕の事をキライだったよね、僕のせいで傷ついてしまったのだから…」
くじらはのそのそ歩きながらそう呟きました。
ふくろうは森を去っていくくじらの背中に囁きました。
「みんなお前の事をキライになんかならないさ、だってお前はみんなのために今海へ還ろうとしているじゃないか、お前はその体にぴったりな、大きくて優しい心を持っているのだから」