どうぶつ童話集。
昔、かめはそれはそれは早く走れる足を持っていました。
その時は甲羅もなくて、本当にトカゲとそっくりな姿をしていたのです。
ある日1匹のかめが病気で倒れてしまいました。
それを知った友達のかめは大慌てで病気のかめの元へと走りました。
けれどもあんまり急いで走っていたら、途中転んで足を怪我してしまったのです。
走れなくなったかめは、それでも前に進もうと、痛む足を引きずってゆっくり歩き出しました。
それを見ていた神様がゆっくりでもいつか必ず辿り着けるように、と、かめの寿命を永くしてくれました。
そして歩いている間、誰にも邪魔されないようにかたくて丈夫な甲羅を作ってくれたのです。
それ以来、かめはみんな永く生きる代わりに、のんびりゆっくり歩くようになりました。