どうぶつ童話集。
かごの中には丸いあたたかな光が入っているだけでした。
「そんなっボクはたしかに赤ちゃんの声を聞いたのにっ!」
こうのとりが焦るとママはその光をぎゅっと抱きしめました。
「この子の『心』の声を聞いてくれてありがとう、おかげで迷わず私の所にきてくれた」
かごに入っていたのは赤ちゃんではなく赤ちゃんの『心』だったのです。
「あなたはたしかに
コウノトリ
『神の鳥』だけれど。私たちにとっては、
コウノトリ
『幸の鳥』でもあるわ、とっても温かな幸せを、どうもありがとう」
優しいママに見送られて、こうのとりはふわりと飛び立ちます。
「ボクは赤ちゃんを運ぶ鳥じゃなくて、幸せを運ぶ鳥だったんですね」
こうのとりはとても幸せな気持ちで、神様の元へと帰って行きました。
おしまい。