だから、仕方ない【BL】
「お嫁さんにしてくれるって、言ったよね」
午後の陽射しが差し込む学食の窓辺で。
アイスコーヒーとは名ばかりの、ちょっぴり苦い砂糖水を飲み下した後、オレはポツリと呟いた。
瞬間、隣の大地は露骨に顔をしかめる。
オレと同じくアイスコーヒーとは(以下略)を飲んだ為のリアクションではない。
「お前、まだそんなこと覚えてたのかよ」
「覚えてたよ」
「いい加減忘れろ。若気の至りだ」
「若気すぎんだろ」
正味4歳の暴走かよ。
「仕方ないだろが!」
突然大地はキレた。
「こらこら、こんな所で大声出すんじゃないよ」
昼時は過ぎたので人影はまばらだったけど、少し離れたテーブルに陣取っている女子グループが驚いた様子でこちらに視線を向けた。
それに気付き、大地は少し声を落として続ける。
「……おかっぱ頭でピンクのTシャツ着てオーバーオール、なんて紛らわしい格好しやがって。ちょっぴりボーイッシュな女の子かと思ったじゃねーかよっ。こっちこそ被害者だ!俺の初恋返せ!」
「うわ、初恋だったんかい」