だから、仕方ない【BL】
しかし間髪入れず、先生は冷静に突っ込みを入れた。
「あら、広海ちゃんは男の子よ」
その時の、奴の表情を、オレは一生忘れないだろう……。
母親と先生は大爆笑だったけど、オレはとても笑う気にはなれなかった。
生まれて初めて空気を読んだ瞬間でもある。
「初恋」という、本来なら甘酸っぱくも微笑ましい想い出として後世に語り継がれる筈のものが、そんなコントじみたエピソードになってしまったのはホント気の毒としか言いようがない。
まぁそんな残念な過去の話はさておき、今や立派な大学生へと成長を遂げた大地に、俺は改めて視線を向けた。
「永久就職って、良いな~と思ってさ」
「は?」
「先輩達の就活見てたら身につまされて…。あんな優秀な人達でも内定取るのに四苦八苦だし」
そして今年は俺達の番。
まぐれで大学に受かって奇跡的に進級できた俺が勝者となり得る事など、到底考えられない。
「……それで俺の古傷をえぐった訳?」
「うん」
大地はわざとらしく、「はぁ~」と深い溜息をもらした。
「あら、広海ちゃんは男の子よ」
その時の、奴の表情を、オレは一生忘れないだろう……。
母親と先生は大爆笑だったけど、オレはとても笑う気にはなれなかった。
生まれて初めて空気を読んだ瞬間でもある。
「初恋」という、本来なら甘酸っぱくも微笑ましい想い出として後世に語り継がれる筈のものが、そんなコントじみたエピソードになってしまったのはホント気の毒としか言いようがない。
まぁそんな残念な過去の話はさておき、今や立派な大学生へと成長を遂げた大地に、俺は改めて視線を向けた。
「永久就職って、良いな~と思ってさ」
「は?」
「先輩達の就活見てたら身につまされて…。あんな優秀な人達でも内定取るのに四苦八苦だし」
そして今年は俺達の番。
まぐれで大学に受かって奇跡的に進級できた俺が勝者となり得る事など、到底考えられない。
「……それで俺の古傷をえぐった訳?」
「うん」
大地はわざとらしく、「はぁ~」と深い溜息をもらした。