だから、仕方ない【BL】
「現実逃避すんなよ。そもそも、今時専業主婦でいられるのなんてほんの一握りだぞ。たいてい共働きなんだから。それに、家事自体が終わりのない、一生続く仕事なんだからな。主婦ナメんなよ」


そんな経験ないくせに、なんでコイツはこんなにミセスの気持ちを理解しているのだろうか?


ホント摩訶不思議な男だ。


だけど大地の嫁さんになる人は幸せだね。


一生気遣って、大切にしてもらえそう。


それなら、例え共働きだったとしても全然苦ではない。


大切な人の為に、がむしゃらになって働くよ。


……なんて、オレがそんな事思っても、何にもならないんだけどさ。


「大地~!」


その時、突然入口付近から学食中に響き渡るような声がした。


その方向に目をやると、大きく手を降りつつ、満面の笑みで彼女が近づいて来るのが見えた。


「お待たせ~。あ、広海君こんにちは」


「こんにちは」


「おせーよお前」


言いながら、大地は紙コップを大きく傾け残りのコーヒーを一気に飲み干した。


大地の彼女、真実ちゃんはニコニコしながら俺達の向かいの席に腰掛ける。
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