鬼の花嫁 ‐巡る季節‐
刹那編
春の暖かい日差し…
優しく吹く風に揺れる桜の花や
春の花が甘い香りを匂わす美しい庭園
廊下を歩いていると
庭掃除をしている刹那が目に入った。
「掃除?」
「あ、姫様」
竹ほうきを持ち、
顔を上げてにこりと微笑む刹那。
刹那はあたしの
身の周りの世話をしてくれる人物。
…と言いながらも、
本当は敵から身を守る為につけられた
今でいう、SPみたいなもの。
身の回りの世話をしてもらうのは
ごくごく一般家庭で生まれた
あたしにとっては恥ずかしくて
やってもらっていない。
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