鬼の花嫁 ‐巡る季節‐
で、よく刹那を見かけるわけだが、
彼女が休んでいるのを見たことがない。
あたしの護衛の任に、掃除、洗濯、
頼まれたものの調達、手紙の受け渡し……
一体、いつ休んでいるのだろう。
ふと心配になり、休んでもらおうかと
丁度今手に持っている団子を見て声をかけた。
「さっき町にお出かけしてね、
美味しいお団子買ってきたの。
良かったら一緒に食べよーっ」
「まぁ…ではお茶を淹れて来ますね」
竹ぼうきを仕舞い、
お茶を入れに向かう彼女を見送る。
初めは「刹那さん」と呼んでいたけど
なぜか、「私の事は呼び捨てでお呼びください」
なんて言われて、呼び捨て。
あたしは縁側に座り込んで、
ふと桜を見上げる。
風神さんは、
「お前は桜の名の通り清く美しい」
なんて言ってくれる。
元々、桜は好きだったけれど
風神さんがそう褒めてくれるから
ますます好きになった。
そんなことを思い出して
一人頬を赤らめ、小さく吐息を吐く。