鬼の花嫁 ‐巡る季節‐






竹串を皿の上に置いて、

心配そうに見つめる刹那を見やり

苦笑を浮かべる。




「あたし夏生まれなの」




つまりまだ15歳。



なんとなく、人間界のルールに乗っ取り

ちゃんと16歳になってから

そういう事はしたいので

今はまだ式を挙げる予定は立てていないのだ。




「え、春じゃないんですか」



刹那は軽く目を瞬いてお茶を啜った。



きっとみんなそう思うだろう。

「春生まれだと思った」って。


あたしだってきっとそう思う。




「なんかね、お母さんが桜って名前
どうしても付けたかったんだって」







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