セイクリッド
条件反射みたいに、私はそれを掴んでしまう。


「っ…」

そして、ミコトがグイッと私を引っ張ったから、私の体はついに彼の目に触れた。



吹いた風が、私の真っ白な服と、真っ黒な髪を撫でる。



「……」

「…あの」

「驚いたな」

「え?」

「想像以上に、すごく似合ってるよ」

「本当?」

「うん。美の女神みたいだ」


雰囲気の柔らかいミコトのことだから、お世辞とか冗談とか、優しさからくる言葉だろうな…って思う。


だけど、こんな素直で暖かい笑顔を向けられてしまうと…本気でそう思ってもらえている気になる。




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