セイクリッド
「だから俺は、いつか‘中津国’(なかつくに)に降りたいって思ってたんだ……人を知るためにね。けど、そう思ってたらマリアが来た」

「……」


‘中津国’って、私達が住んでいる場所を指しているのかな?



考えていると、


「あ、マリアの世界のこと‘中津国’って呼んでるんだ」

表情を見透かしたようにミコトが教えてくれた。



「私――……」

「やっと見つけました!」

「…――?」



突然聞こえた大声に、言葉を飲み込む。



ミコトは、私にむけていた視線を前方に向けて、その場に立ち止まった。


その顔を見上げてみると、ミコトは悪戯がバレてしまった子供のような表情をしてた。


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