セイクリッド
「マリア。少しの間…手を離しても大丈夫?」

「え、うん……大丈夫」

「安心して。こういう所じゃ俺と手を繋いでなくても迷ったりしないよ」

「え!?そうなの?」

「ははは。言わなくてごめんね?俺、触れ合うの好きだから」


悪びれる様子も無くそういって、ミコトはゆっくり手を離した。



そしてその手を、シグレのほうに差し出した。


「荷物持たせて悪かった。もう自分でもつよ」

「いえ。荷物は別に――…」

「いいから、渡して」

「……はい」


ミコトに押し切られるような形で、シグレは背負っていたふたつの荷物のうち、ひとつをミコトに手渡した。


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