セイクリッド
「‘彼’って、シグレは太陽の神様に会ったことあるってこと?」

「……」

「…え?何?」

「……」

「え?」

「…マリア、そうじゃないよ」


眉間にシワをよせてるだけのシグレを見かねたのか、ミコトはそこで口を挟んだ。


「え?」

「シグレは、‘彼’って親しみを込めて言っただけ。高天原の住人は、ほとんどが‘彼’って言うと思うよ」

「……」

「名前も呼ばれないなんて、可哀想だよね」



ミコトは、にこっと笑ってみせたけど、その笑顔は少し寂しそう。



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