セイクリッド
「ミコトって優しいよね」

「え?」

「だって、誰かのことを想ってそんな顔が出来るんだもん。優しいからだよ」




その太陽の神様が、どこの誰かは知らない……‘彼’と呼ばれて、名前を呼ばれないのは確かに可哀想だと思う。

だけど、こうやって悲しい顔をしてくれる‘誰か’がいるなら、それだけ意味があると思う。



それなら、可哀想なんかじゃないと思う。



「太陽の神様は、確かに可哀想かもしれないけど……もしかしたら寂しい思いをしてたりするのかもしれないけど……きっと、大丈夫だよ」

「……」

「だって、ミコトがそうやって考えてくれるんだから、ひとりなんかじゃ…ないんだよ」


< 187 / 204 >

この作品をシェア

pagetop