セイクリッド

黄色い花弁の世界を出たのは、そのすぐあと。

っというより、ずっと見つめていたのにも関わらず、その世界はいつの間にか見えなくなってしまった。


ミコトの話によると、この‘黄桜’という美しい大木の景色は、一つの場所に留まらないらしい。


日々移動し……どこかで咲き乱れる花らしい。



だから私は、本当に本当に…ものすごくラッキーらしい。




いい兆しだ、だからそんな悲しい顔しないで、ちゃんと元の世界に返してあげるから。


ミコトはそういって励ましてくれた。



私の気持ちが、少しだけ落ち込みだしていたのを気づいていたのかもしれない。


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