セイクリッド
明日の約束を取り付け、ついでに夕飯をすましてからアパートに帰ってくると、時刻は20時を回っていた。


帰ってきてまず最初に、鞄の中から『Sacred places』を取り出す。



ベッドに腰を下ろしながら、何気なくページをめくった。




‘マリアに捧ぐ’

「永遠の時を、マリアに捧ぐ……か」



私を待っていてくれる人なんて、本当にいるんだろうか?

いったい…どこにいるんだろう。


「あなたは誰なの」


自然と紡がれていく独り言が、狭い部屋の中に消えていく。


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