本当のキミ〜君から見えるキミ〜
そこで思わず声を出してしまったのが悪かったの…
「あっ」
だから、その人の視線が私に移されてしまった。
「何?もしかして、君もこの場所が好きなの?」
むくりと起き上って”彼”はそう言った。
「…香山悠哉」
その人物が目の前にいたことで独り言のように私はつぶやいてしまった。
「あれ?初めましてだよね?どうして、俺の名前を知ってるの?」
首を傾ける動作が様になっているのがどこか悔しかった。
「あなた、有名だから…。」
「俺が有名?そんなのないって!」
素で言っているのだろうか、この男は。
そう思ったらなんだか可笑しくなって、私は小さく笑ってしまった。