天の邪鬼な月と優しい太陽 【短編】
恋弥に大嫌いと言って数日がたった。
私は先生の頼みで資料室に教材を運んでいる。
大嫌いと言ってしまった。恋弥に嫌われてしまった。
胸が苦しい。痛い。痛いよ…
恋弥が好きなのに、恋弥のことが大好きなのに、逆の言葉を―大嫌いを言ってしまった。
ふと窓を見る。そこには恋弥の姿があった。
その近くには学校一可愛いと評判の先輩が―
あ、付き合うんだ。あの二人は。
お似合いだからいいね。
嬉しい。恋弥が私にもう付きまとうことはないから。
嬉しい、嬉しい…なのに、何で涙が出るんだろう?