愛し愛されて。
「ちょ、ちょっと!谷田部くん?」
奈々が同様している。
「今から俺の恋バナ聞いてくんね?」
聞いてくれなきゃ
始まんねぇんだけど。
「は?」
「いいだろ?」
拒否権ありませんからね。
「まぁ、いいけど。」
俺は深呼吸をして
話はじめた。
「俺には好きなやつがいて、そいつとはつきあってんだ。」
「うんうん。」
「俺がここに呼び出して、去年の夏に告白して、つきあうことになったんだ。屋上は思い出の場所だ。」
この間、一年記念日
したな。
「そうなんだ。」
「そいつは、何でも簡単に人の言うこと信じるし、バカ正直で、泣き虫ですぐ泣いちゃうし、怒ると怖い。教室で優也病とか言うくらい素直で、俺のことが好きで…」
「へぇ。」
「俺は…そいつの…こと…好きで好きでバカなくらい好きで。1日でも会えねぇだけで自分が自分でいられねぇくらい。まぢで…愛して…んだよ。…くそ。」
なに泣いてんだよ、俺。
「だ、大丈夫?何かあったの?…その、彼女さんと。」
俺は話を続けた。
「…そいつとこの間、遊園地行ったんだ。一年記念日で。」
「そうなんだ。」
「俺は乗れないジェットコースターもそいつのために乗った。気持ち悪くなったけど。でもそんな俺を見て、笑ったり心配そうな顔したり…膝枕もしてくれたり…まぢ優しいやつなんだ。」
「…」
「俺はそいつとまじで結婚したかったんだ。近くの雑貨屋よったときに指輪を買ったんだ。」
「指輪…」
「それを観覧車のったときに渡したんだ。そしたら、めちゃくちゃ可愛い…笑顔で…喜んでくれて…頂上にいったときキスしたんだ。永遠に一緒にいたかったから。」
「…」
「でもそいつは…今は俺のこと分か…いや。そいつは俺に…プレゼントをくれたんだ。血がついたプレゼントだったけど、すっげー…嬉しかったんだ。」
「へぇ…」
「この指輪と…ブレスレットは一生の宝なんだ…」
俺はブレスレットと
指輪をみた。
「そ、それ…」
奈々に見られちまった。
「早く会いてぇな…もとのあいつに…。」
「…」
「あ、俺の恋バナはここまで。さんきゅな。聞いてくれて。」
俺は屋上をあとにした。