愛し愛されて。



卒業式が終わり
自分の教室に行った。



「み…みんな…卒業おめでとう。」



先生な…泣いちゃってるし…




「もう、先生泣きすぎだよ~」



「だってなあ!」



ガラガラガラ



「奈々ー!!!」


「優ちゃん!!!」



優ちゃんが教室に
きてくれた。



「卒業おめでとう!」


「ありがとぉ。優ちゃんもね!」


あ、ここ教室だった。
抱き合うのはやめよう。



「ったく。お前らには散々迷惑をかけられたな。」


「えー、先生~。」



まあ、授業ほったらかしてた
ときありましたもんね。



「でもいいよなぁ~。お前ら結婚すんだろー?」


「あぁ。来年な!みんなのこと招待すっから、絶対こいよ!」


「先生も絶対きてくださいね。あ、そのときはこの子も一緒だね。」


私はお腹をさすった。


そうなんです。

私たち結婚することに
なったんです。

しかも私のお腹の中には
赤ちゃんがいます。



「おーい、聞こえますか?パパでしゅよ~。」



優ちゃんがお腹に
語りかけた。



「もう親バカかよ~!」


「わ、悪ぃかよ!」



もうみんな爆笑。



「も~、幸せなんだからー。去年だっけ?一時はどうなることかと思ったよ。」



「そうだったな。奈々が俺のこと分かんなくてなぁ。まじ焦ったよ。今はいい思い出だけどな。」



たしかにいい思い出に
なっている。

でも優ちゃんは
本当につらかったよね。



「結局は愛の力で思いだしたとかなんとか言っちゃってね~」



「え?でも、愛の力はまじだぜ。なー奈々?」


「もー、優ちゃんったら。」



「奈々幸せものだね。」


「えへへ。咲子ありがとう。」



咲子。分かるかな?

席がうしろだった夏川さん。

夏川咲子。

私はあれから
思いだすことができたんだ。









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