黒猫ライアと白猫アイラ 【短編】


『アイラ、アイラ。』


黒猫ライアがアイラを呼ぶ。


「なぁに?ライア。」


白猫アイラがライアに問う。


『あれが食べたい。』


ライアの言葉にアイラはひとつ溜め息を吐くと、魚屋さんにあるトロに狙いを定めた。


「コラ!泥棒猫め!」


白猫アイラは魚屋さんに首根っこを掴まれてしまった。


にゃぁん、と黒猫ライアが鳴く。


白猫アイラは、そんなライアをじっと見ていた。


『食べさせてくれないの?』


ライアが訊くと、アイラは困ったように微笑んだ。


「また、今度ね。」


< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop