逆ハー?いいえ、これはリンチです!
いやいやいや…これこそ違うよ。私何か見てない見てない。ほら、私の前に居る可愛い可愛い美咲ちゃんを見てるのよ。



「あの先生、何かチサちゃんの事見てない?」



おうふ…。



それはないよ、美咲ちゃん。



『違う違う。美咲ちゃんを見てるのよ。』

「でも…やっぱりチサちゃんを『勘違いだよ!ほら、前進んで。』



美咲ちゃんの肩を掴み、前に進めた。それでも視線は感じる。チラッとあのイケメン先生を見ると、目が合った。



そして…



ニヤッ…



勘違いと思わせて欲しい。お願いです、神様ぁ!



無事に職員室から出れて、あの後も学校案内が続きお昼過ぎに下校となった。



『おっも…』



入学初日に配られた教科書やらテキストやら、ハンパない量。これを持って二時間掛けて帰るなんて憂鬱…。



「チサちゃん、一緒に帰ろ。あっ、でもチサちゃんって家何処なの?」

『神楽だよ。』

「えっ!?神楽ってめっちゃ遠いじゃん!どれくらい時間かかるの?」

『片道二時間。』

「二時間…やるわね。チサちゃん。じゃあさ、途中まで一緒帰ろ。」

『うん。』



重い教科書を持って、下駄箱に向かった。あぁ…半分置いてくればよかったかな?って後悔した。



『くふっ…重い。』

「大丈夫?二時間もそれ持って行くんでしょ?少し学校に置いてくればよかったんじゃ…今からでも戻る?」

『なんかもう面倒だから、このまま帰るよ。』



美咲ちゃんも同じ物を持ってるのに、ちっさい体で良く持てるな~。なんて思ってたら、「私馴れてるから」って自分から言ってきた。



「邪魔…」



はい!今日で三回目ー。そして低い声に、突き刺さる視線。



出たな!



高屋敷龍治もといパツキン野郎!



「…だっさ。」



分かってます!へっぴり腰になっててダサイの分かってます。


ジーっと見てないで、帰れよっ!ムカつくから。



ひょいっ…



『え…?』

「どこまで…」

『はっ?』

「何処まで行くんだって言ってんだっ!」

『ひぃっ!か…神楽。』

「神…!?マジかよ…」



え…何これ。持ってくれるわけだよね?
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