天神学園高等部の奇怪な面々30
という訳で。

「ちっ」

第一声が舌打ちである。

夕城 翡翠、ご機嫌斜め。

気に入らない。

極めて気に入らない事山の如し。

片手には、今朝、妻がこしらえたケーキの入った箱。

やたらと甘くて美味そうな匂いがする。

なのに食うのは己ではなく、あのスペシャルバカの姉で悪名高い龍太郎一味の一員、宿敵けしからん牛の先輩であり、阿呆の子であり、無駄に色が黒く、閻魔と呼ばれた己をいささかも恐れず、それどころか馴れ馴れしく甘えてきて、あまつさえ世継ぎとなる夕城の子が生まれてきたら抱かせろなどとのたまう、図々しい事この上ない淫らの化身、スペシャルハレンチ・丹下 雛菊(たんげ ひなぎく)だというではないか。

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