フクロウの声
雪のやんだ午後、
久しぶりに柔らかな日差しが暖かい。

雪が溶けて滴になり、
ぽとぽとと音を立てるのが障子越しに聞こえてくる。
 
沖田が薄く目を開けた。
マオリは自分の着物の繕いをしていた手をとめて、
起き上がろうとする沖田を助けた。

「寒くはありませんか。」
 
マオリは沖田を気遣い、着物を羽織らせた。

「ああ、外は・・・雪?」

「いえ、止んでいます。よく晴れています。」

「障子を開けてくれる?」
 
マオリはうなずいて立ち上がり、
障子を開け放った。

雪に反射した太陽の眩しい光が部屋を明るく照らし出した。

「きれいだね。」

「そうですね。」
 
短い言葉を交わし、
マオリと沖田はきらきらと光る残雪に目を細めた。

「今日は・・・死神は?」
 
沖田は遠くを見つめたままマオリにたずねた。

「そんなもの、いません。」
 
マオリは答えた。

「ふふ・・・。」
 
沖田はかすれた息を吐きながら笑った。

「私にはいつも死神が背中に添っているような気がする。
 なんのにおいを嗅いでも血のにおいみたいだ。」
 
マオリは沖田を見上げた。
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