フクロウの声
「沖田さん、私は土方さんの指令で
 近江屋にいた坂本という男を斬りました。」

「ふうん。」
 
マオリはあの縮れ毛の男を沖田が知っていると直感し、続けた。

「あの人物は誰なのですか。土方さんは坂本と言っていましたが。」
 
マオリはたずねながら、
ごくりとつばを飲み込んだ。

「そんなこと知ってどうするの。」

「知りたいんです。」

「・・・。」
 
沖田は黙った。
また遠くを見つめる。

通りを声をあげながら走っていく子供の声が聞こえた。

「君がその男を斬ったということは、
 金輪際、口にしないことだね。」

「あの男は私が死神を背負っていると言いました。
 死神を背負って・・・
 おまえは何をするんだ、と今際に問いました。」
 
マオリは頭から血を流しながら、
縮れ毛の男が手を自分に向かって伸ばした光景を思い出し、
思わずぶるりと震え、拳を握り締めた。

「まいったな。私はこういう説明が下手なんだ。」
 
そう言ってぽつりぽつりと沖田は話始めた。

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