フクロウの声
足音は徐々に近づいてくる。
走っているようだ。
 
月明かりでその正体が浮かび上がる距離まで来た時、
男は固唾を飲んだ。
 
細い影は、昼間見た少女であった。
 
黒い髪を振り乱して必死に走っている。

まるで何かから逃げているかのようだった。

暗い夜道を明かりも持たずにひた走る姿は
あっと言う間に遠ざかった。
 
あの少女こそ、自分が探していた使い手ではないのか。

男は窓から離れ、自分の刀を取り部屋を出た。


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