フクロウの声
マオリたちの家族の他にも
少し離れたところで野良仕事をする人たちがいる。
マオリが口を開こうとすると、父が首を振った。
言うでねえ、青くなった唇が震えていた。
冷えた汗が一筋、父の黒い首を伝う。
「帰えってろ。」
父が低い声で言った。
マオリは今にもこみ上げてくる不安が
涙になってあふれ出しそうになるのをこらえて
何度もうなずき、弟を抱えて立ち上がった。
汁のような汚物がマオリの腕を伝った。
どうすんべ、どうすんべ、と
マオリは心のうちで叫びながら家へ戻った。
腕の中の弟はぐったりとして息が荒い。
焼いた石のように小さな体は発熱している。
「おばば・・・!」
マオリは家に飛び込むと祖母を呼んだ。
上の弟は外に出ているようだった。
「おばば、栄治が、栄治が・・・。」
祖母は立ち上がって土間で泣いているマオリの傍へ来た。
「どうしたんだべ。」
祖母はマオリの腕の中でぐったりしている弟を見とめると、
皴の刻まれた顔を強張らせた。
つーっと、マオリの腕を汚物が垂れていく。
「マオリ、誰にも見られなんだか。」
マオリの手から弟を抱き上げると、
祖母は素早く汚れた着物を脱がせた。
少し離れたところで野良仕事をする人たちがいる。
マオリが口を開こうとすると、父が首を振った。
言うでねえ、青くなった唇が震えていた。
冷えた汗が一筋、父の黒い首を伝う。
「帰えってろ。」
父が低い声で言った。
マオリは今にもこみ上げてくる不安が
涙になってあふれ出しそうになるのをこらえて
何度もうなずき、弟を抱えて立ち上がった。
汁のような汚物がマオリの腕を伝った。
どうすんべ、どうすんべ、と
マオリは心のうちで叫びながら家へ戻った。
腕の中の弟はぐったりとして息が荒い。
焼いた石のように小さな体は発熱している。
「おばば・・・!」
マオリは家に飛び込むと祖母を呼んだ。
上の弟は外に出ているようだった。
「おばば、栄治が、栄治が・・・。」
祖母は立ち上がって土間で泣いているマオリの傍へ来た。
「どうしたんだべ。」
祖母はマオリの腕の中でぐったりしている弟を見とめると、
皴の刻まれた顔を強張らせた。
つーっと、マオリの腕を汚物が垂れていく。
「マオリ、誰にも見られなんだか。」
マオリの手から弟を抱き上げると、
祖母は素早く汚れた着物を脱がせた。