フクロウの声
マオリは弟と一緒に土間におり、
苦しそうにする弟の額を濡らした手ぬぐいで冷やした。

「これは、あの奇病だべ。」

父は祖母に低くつぶやいた。

「んだ、間違いねえ・・・。」

祖母も小声で返した。
二人の会話はマオリにも届き、濡れた手ぬぐいを握り締めた。

「早くお医者にみせなくては・・・栄治は死んでしまうだか。」

マオリは顔をあげて父と祖母に問いかけた。

「そげなことできるわけねえ。」

父は冷たい声で言った。
野良仕事で焼けて黒くなった肌の上で薄い唇が真一文字に閉じられた。

マオリの目に涙が溢れた。
横たわる弟が滲む。

それとなく状況が把握できているのか、
上の弟も部屋の隅で膝を抱えて見守っている。

まんじりともせず、夜が更けていく。

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