先生、“生きる”ってなんですか?【完】







「…っ、」





遊佐と歩いていたら、

マンションの屋上に座りながら、泣いている友達を見つけた





「どうした?」



遊佐が私の顔を覗き込んでくる





小さく息を吸ってから、私は彼女を指差した






「ん?」


「あの子、ね。私の友達だったの」





小学校までは、の話なんだけど







あの子は覚えてるか分からないけど

中学にあがる前、こんな約束をした







〝どっちかがいじめられても、ずっと友達だよ〟





そんな約束、簡単に破られたけれど







「そう、か…真穂はどうしたい?」


「私は…」







私はどうしたいのだろう



かつて、仲良しだった子を助けたい。

でも、私は裏切られた




彼女を、私は…







ポン、と私の頭に遊佐が手を置く




「ははっ、泣くなよ。な?」



「っ、私」


「忘れたわけじゃないだろ?裏切られたこと」


「うんっ」


「…でも、もっと忘れちゃいけねえことがある」





私が涙をぬぐえば、優しい瞳で遊佐があの子を見つめていた





…忘れてないよ。

もうずっと忘れない









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