シャイな狼とドジな子羊
負けちゃ駄目!
ちゃんと狼くんにお礼言わなきゃ!!
あたしは、そそくさと狼くんの元へ向かった。
「お、狼くんっ!」
外を眺めていた狼くんが、あたしの声に
反応して、振り向いた。
と、同時に、周りにいた男の子たちも
あたしに視線を集めた。
「あ、あのっ…さ、さっきは、ありがとう…!
それで… お礼に余りものなんだけど… おにぎり、よかったら…」
い、言えたっ!!
すると、狼くんは目を見開き
少しビックリした表情で顔を赤らめた。
「あ……っと」
狼くんは、手で口元を覆いながら
目を逸らした。