シャイな狼とドジな子羊
あ、そうだ…
狼くんに聞くんだった…!
「ね、ねぇ狼くん。おにぎり……」
あたしがおにぎり、と言うと
狼くんは、ふっと笑った。
「…美味かった」
そういうと、狼くんの手元にあった
いちごオレを、あたしに渡してきた。
「え…狼くん…」
「…お礼」
あたしには、お礼なんて困った。
だって、おにぎりは、あたしからのお礼なのに
そのお礼である、おにぎりをあげて、また
お礼をもらうなんて、いけないと思った。
すぐ、返そうと思ったけど、もう目の前には狼くんはいなかった。
「お、狼くんっ!」
遠く離れた狼くんを呼んだが
振り向いてはくれなかった。