一度きりの夏だった
「うわあ。遥に電話なんて珍しい。」
「うるさいなあ。」
遥は携帯電話を開いた。
お母さんだった。
「もしもし。」
『おッ!遥!?』
「!??!?!?!??!」
遥は、電話の口を押えた。
「ど、どうしたの?」
桃は驚いた。
「お母さんが、男だ。」
「えええええ?」
『オイ!遥ーー。』
電話の口から聞こえる男の声。
「ちょっと貸して!」
桃は、遥の電話をとった。
「もしもし?あなた誰?」
『お!…ってえ?忘れた?』
「うん。」
桃は冷たく言う。
『笹山純!』