一度きりの夏だった

ふたりは、あたりが暗くなったので、お互いの家に帰ることにした。



遥は、とりあえず笹山純にあわなければならない。

いつか忘れたが、ひとつ上のいとこがいると聞いたことがあった。

それが、笹山純なのかもしれない。

誰だかわからない存在になぜか安心していた。

多分、知っているんだと思う。




家には明かりがついていた。

なにかにぎやかな雰囲気。

「ただいまー」

恐る恐るドアを開けた。

・・・笹山純って誰なんだろう。

すると、どたどたと廊下を走る音が聞こえた。

「お前ーーーーーっ!」

「?!?!?!?」

こいつか!

「俺のこと忘れたのか!?」

笹山純と思われる人物が遥の肩をゆする

「だれだれだれだれっ!」

「げえええええ!まじかよ!」

笹山純はその場に座り込んでしまった。

「今覚えるから。」

遥は、靴を脱ぎながら言った。

どうやら、こいつは要注意人物だ。

「笹山純。」

「いや、それは死ぬほど聞いた。」

「あれ?死ぬほど言ったっけ?」

すると、お母さんがやってきた。

「あ、遥!お帰り!」

「あ、遥。・・・じゃなーい!誰この人。」

お母さんは驚いた。

「忘れたの!?いとこの純くん。」

あぁ。

やっぱりいとこなのか。

「今日から、一週間家にいてくれるそうよ。」

純は立って挨拶をした。

「よろしくな!」

・・・一週間?

「まぁ、遥は部活動でいないから大丈夫かなーと思ったんだけど・・・。」

・・・・待てよ。

「お母さんね、お父さんの親戚がお亡くなりになられてお葬式に行ってくるから家を留守にするのよ。あなた一人じゃなんかあったら困るでしょ?」

・・・。

「うっそおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


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