一度きりの夏だった
さぁ。
とりあえず、公園に行って練習しなきゃ。
遥は、トランペットを吹いている。
高校になったときに、楽器を買ってもらった。
遥は、小学校の時に音楽クラブでトランペットを吹いてトランペットにはまりだした。
中学校では吹奏楽部に入り、トランペットのレッスンに通っていた。
高校では、上を目指すというより楽しくトランペットをやりたくて今の高校を選んだ。
遥は、中学校の時にソロコンにも出ていて優秀な成績をおさめたことがあるため吹奏楽の名門からスカウトも来ていたが楽しくやりたいので断った。
遥は、いつもの公園につくと譜面台を立て始めた。
高校の陸上は、よくこの公園で練習している。
祐太と遥は、ここで知り合ったのだ。
祐太は、陸上の特待生である。
中学校のときから、ここの近くの陸上教室に通ってトレーニングをしていた。
ここの陸上教室は元オリンピック選手が指導してくれるため非常に人気の教室だ。
だが、定員があるため成績をある程度伸ばさないと、元オリンピック選手のレッスンは受けられないのだ。
だから祐太はこの公園で必死に練習していたのだ。
この公園はその選手も練習に使用した公園なのだ。
その公園で、遥は学校帰りにトランペットを練習していた。
レッスンは、8時からなので部活終了の6時から7時半まで練習してレッスンに向かっていた。
よくすれ違う二人。
まさか同じ高校に行くなんて思っていなかったのに。
高校で、同じクラスになって早いうちに付き合った。
今日は、どうやらいないみたいだ。
陸上部。
すると、ホルンの音が聞こえてくる。
「あ、真由。」
ホルン奏者の真由だった。
「あ、遥ちゃん。」
真由とは、同じ中学校だった。
真由も吹奏楽部で、中学校のときは一緒にアンサンブルコンサートに出た。
「練習?」
「うん。練習曲が難しいんだよね~。」
「あ、まだレッスン行ってるんだ!」
「うん。なかなか1stになれないから悔しくて。」
真由は、負けず嫌いだった。
「私、遥ちゃんみたいにうまくないからさ。オフでも練習しないと。」
「私よりうまいひとなんてたくさんいるよ~。一緒に頑張ろうね!」
みんな楽しく音楽をやっている。
うまくなること、練習することが楽しさのひとつなのだ。