一度きりの夏だった

ペットボトルに水を入れてまたあの場所へ戻る。

・・・と。

テナーサックスの音が聞こえてくる。

・・・?

こんな音する人いたっけ?

私は不思議に思った。

これはジャズの音だ。

聞いたこともない音楽。

「・・・あっ!」





笹山純。



「あ。遥~!」

陽気な顔して私の名前を呼ぶ。

「今の・・・。」

「え?」

あの音って、笹山純?!

「俺のアドリブソロ!永遠に続きますよ。」

「え…。」

すごい。うそでしょ。







私は、なぜか純と練習していた。

隣で永遠のアドリブソロをしている。

私はロングトーンをしている。

雑音・・・。

こいつ、口つかれないのかな・・・。

日陰なのになぜか光っている。

輝いていた。

音。

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