夢を売りに
夢の形
男は、壁のスイッチを押した。
すると店が明るくなり店の中が見渡せるようになった。
カウンターの後ろの棚になにやら得体の知れない物が幾つも置かれていた。
どれもいびつな形をした野球のボールを少し大きくしたくらいの物だった。
男は、棚から一つ取り出すとカウンターに置いた。
黒く濁った塊だった。
石のようにも見えたが表明がヌラヌラ濡れて微かに光ってるようだった。
「これが、三十七歳詩人志望の夢の塊たよ。
今でもネットで書いたり賞にも応募してるらしいよ。
若い時には、二三度地方紙に掲載された事があるらしいよ。」