馬鹿ですけど何か?



「お、来た来た。どうぞお座りください」


と、りっちゃんが私の席を指して言う。

軽く会釈をしてそこに座ると、隣の席にゆうちゃんが座った。


「で、どう?キスがし隊?だっけ?は。」


「あなたの唇奪い隊です。」


意味的には変わらないけどさ、略しすぎだよりっちゃん。

それにさ、女の子らしいちょっと可愛い言い方とかあるじゃんね?ね?


「なあに?それ?」


変なキーワードにゆうちゃんは首をひねる。

けど、説明しようと口を開いたところで丁度チャイムが鳴ってしまった。

後で教えてね、と言ってゆうちゃんは自分の席に戻った。


「楓!かばん置きっぱなし!」


蓮の声ってかっこいいなーと思いながら、私は蓮の席に向かった。


---


なんやかんやいろいろすっ飛ばして放課後。

帰りのHRが終わって、りっちゃんとゆうちゃんに、いよいよだねー、と言われて思いだした。


今日は蓮の家に行くのでした。


「楓、帰ろ。」


ジャストタイミングで蓮が肩を叩いてきて、なんだか抱きつきたい衝動に駆られた。

でもさすがに教室ではできないので我慢我慢…


……あっくんがニヤニヤしながら手を振っていたのは見なかったフリ。


「そのまま行っていいの?」


りっちゃんとゆうちゃんにも手を振って、教室を出る。

なんか、ドキドキしてきた。



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