馬鹿ですけど何か?
ガタン、と、ものすごい勢いでコップをテーブルに置き、私の手にあるものを奪い取る蓮。
「え、なに、どしたの」
別に男の子なんだからね、仕方のないことじゃんね。
なのに何をあわてておられるんでしょうかこの殿方は。
「……怒った?」
エロ本を着ているパーカーの中に隠し、少し頬を赤くしている蓮。
とってもかわいいです。イケメン。
「怒ってないよ?」
あれなんかな、私の水着姿とかでも蓮は発情してくれるのかな。
私じゃ不満とか言われたら怒るけどね、もちろん。
「……」
なんか無性にちょっかいをかけたくなって、後ろからつんつんしてみた。
リンゴジュースを一口飲んで、へらっと笑う。
「私とそのモデルさん、どっちとちゅーしたい?」
こういうありきたりな面倒くさい乙女のセリフ、実は言ってみたかった。
「え、と。そりゃもちろん楓さんです。」
蓮の答えに満足して、蓮の頬に触れるか触れないか程度のキスを落とす。
目があった蓮の顔はさっきよりも少し赤くて、つられて私の顔も少し染まった。
「好きよ。」
甘えさせてほしいと思いながらも、結局私は蓮に甘くて、
何があってもきっと、ずっと蓮のことが好きなのかな、って思う。
ふわりと蓮の匂いがして、蓮の匂いに包まれた。
暖かい体温が気持ちよくて、幸せを感じた。