馬鹿ですけど何か?




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「おっはよ、」


「あ、蓮(れん)。おはよ。」


あいつの唇(略)が結成して初日の朝。

朝一番に声をかけてきたのは彼氏さんでした。


唇に目がいきそうになるのをぐっとこらえて、

冷静を保って…。


「あのさ、今日の帰り暇?」


蓮が何気なく手をつないできて、そう訪ねてきた。

あったかい手だなー。


「特にはないよー。」


そう返事をすると、可愛い蓮の笑顔が返ってきた。

蓮は笑うと顔が幼くなる。

中学の時を思い出して、なんだか懐かしくなった。


思えばあの時からずっと好きなわけだし。

…両想い、だったわけだし。


今こうやって付き合えてるだけでも幸せなんだから、

欲張っちゃ、駄目なのかなとか思う。


「今日さ、俺ん家来ない?」


みんなで遊ぶ時は大体蓮の家。

蓮の家は一軒家で門構えが立派で、大きな家。

いわゆるお金持ちってやつ。

初めて入った時はびっくりした。


「ん、行く。今日誰が来るの?」


そう尋ねると、蓮の掌の体温が少し上がった。

気がした。




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