馬鹿ですけど何か?
「ぬああ、恥ずかしかった。」
下駄箱から廊下を少し進み、2年の教室がある三階まで階段を上って。
私は人のいない非常階段の前のでっぱりまで連れてこられた。
「何がですか蓮さん。」
鼻の頭をつないでる方と反対の手の人差し指でツンとつつく。
つつかれた鼻をつまみながら、蓮は少し顔を赤くした。
「手つないでるところみんなに見られちゃったじゃん。」
「っは、今更。」
余裕ぶって答えるけど、実は私だって恥ずかしかった。
まあ多分見てた人逹は全然気にしてないんだろうけど。
恋は盲目ってこういうこと?
…そういえば入試で「Love is blind」って出たし、そうだな。
「あのね、すっごい事言っていい?」
少しの沈黙の後、蓮が口を開いた。
私は首を少し左に捻り、次の言葉を待った。
「俺さ、そろそろさ、その…あのね。だよね!」
「言いたいことが全くわからないですごめんね。」
あー、私が蓮に別れ話とかされたらこんな風に現実逃避するんだろうなー。
とか思いながらへらっと笑う。
2度目の沈黙、蓮の息を吸う音が聞こえた。
「ぶっちゃけ、そろそろちゅーとかしたいんです。」
チュドーン。
考えることは一緒でした。
以心伝心ってやつでしょうか。