キスを落とす25箇所
綺麗に歪む真っ赤な唇が、私のぼんやりとした視界のなかでやけに鮮明に映る。まさに悪魔的な微笑だった。
「ふふ、そんなに憔悴しきっちゃって。可愛いもんですねぇ、貴女も所謂ヒトの子だったんですか」
ツ、と長い指先が伸びてくる。
「どうです? 可愛くおねだりができれば、今ならこの私が看病して差し上げてあげないこともありませんよ」
ひんやりと冷たいそれはゆったりと勿体ぶるような所作で、私の顔という顔を這い、「お辛いでしょう? お可哀想に」気を抜けばすぐにでも遠ざかろうとする私の意識を無理矢理にこの場につなぎ止める。