キスを落とす25箇所



「馬鹿ですねぇ、あの時私が差し出した傘に大人しく入ってさえいれば、こんな風にならずに済んだというのに」



あるいは、素直に私に家まで送られればよかったのです

そう続けた彼は、暫しの黙考の後に、汗でべったりと張り付いた私の前髪を押しどけて。



「悔しかったら早く元気になられて、私に文句のひとつでも言いに来なさい。

いつ何時でも、歓迎いたしますよ」



それから、無防備に晒されたおでこに、冷たい口付けを落としたのだった。


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