キスを落とす25箇所



頭をすっぽりと覆うサイズ。感じる重み。

包み込むような手の安心感に身を任せていれば、それを同意とみなしたのか「それじゃああっちで一緒に食べようねえー」ひょいと長い腕が後ろから食器をかっさらってキッチンを出ていく。


フンフンと鼻歌なんて歌っちゃってなかなかの上機嫌だ。


急に去っていった熱が名残惜しくて、私は彼の背中をぼんやりと眺めた。

着ている白いカッターシャツに浮かび上がった肩甲骨。それを目線でなぞる。

そのまま目線を下へ、下へと持っていく。

私の中の彼の存在を上書きしていく。


気づいてくれるかな。

そう思っていると不意に彼が立ち止まって振り向いた。



「……ねえ、俺に食べさせてくれる?」



あーんって、やってほしーなあ。

甘えた声を出すそのひとに、私は「甘ったれてるんじゃないよ、ばか」すかさずそう返した。


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