オオカミヤローに捕らわれて
「いいじゃない別に。ねぇ、“伊達さん”?」


名前の所だけやけに冷たく言い、ハッと笑う安岡。


「ハイ……只今」


「じゃあ紅茶の準備、早くお願いしまーーす」


吹雪がハンカチを拾って差し出したのに、礼も言わずに紅茶の催促する安岡に、オレもマユを寄せた。


「お前何なんだよ。吹雪は紅茶の準備しようとしてたのに、お前が“ハンカチ拾え”言ったんだろ。なのに早くしろとか意味分からねぇんだけど」


賭けてもいい、コレは絶対ワザとだ。


幾ら何でも初めて上がった家のメイドにこんな態度をとるなんて、普通の一般庶民でもしない。
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