オオカミヤローに捕らわれて
「チクショー優牙のヤツ…吹雪、ちょっとついて来い」


「えっ!?どこに……」


“行くの”と最後まで言えないまま、統牙は花火セットと水が入ったバケツを器用に片手で。


もう片方の手で私の腕を掴むと、どこかに向かって歩き出した。


「統牙……」


「黙ってろ。バレたらまた吉良に何か言われるから」


次第に花火大会会場の庭の明かりが遠くなり、街灯と星だけが夜道を照らし始める。


暫く歩くと、統牙は人気の無い公園に入った。


「どうしたの統牙?お庭に戻ろうよ」


なんでわざわざ公園なんかに来たのか、不思議で堪らない私。
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