オオカミヤローに捕らわれて
クソ!やはり成見家に20年使えてるメイド頭、こんなんじゃ誤魔化されないか!!


「さぁーて、どこにいたと思います?」


どうにか吉良を宥め様とするオレの傍で、吹雪に声をかける優牙。


「吹雪さん?胸押さえて…苦しいんですか?」


「いえ、何でも……ご心配ありがとうございます、優牙お坊ちゃま」


優牙に背中を向け、佇む吹雪に、オレは何も言わなかった。


この時のオレはマジで何も知らないで、最低最悪だったのかもしれない。


まさか後ろを向く吹雪の頬に、涙が伝っていたなんて………


庭にいた皆が気づかなかった。
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