オオカミヤローに捕らわれて
パチパチと瞬きを繰り返す私に、吉良さんは首を横に振った。


「違うわよ、そうじゃ無くて……伊達さん、花火大会の日から元気無いじゃない?何かあったの?」


ドキッ…


バレてた……?普段通りに振る舞ってたつもりだったのに………


「大丈夫ですよ吉良さん。何もありませんから。私は元気です」


アハハとムリヤリ笑顔を作り、洗濯物が入ったカゴを持って庭に行く。


伊達さんはそんな私を、心配そうにジッと見つめていた。


――――ホントは大丈夫なんかじゃなかった。


一昨日の花火大会の日の出来事が、頭から離れないでいるんだ。
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